招待講演




武藤 恭之 氏
タイトル: 連星・円盤・惑星の相互作用
概要:近年、数多くの系外惑星系が見つかってきており、特に、Kepler計画では連星系周囲の惑星も見つかってきている。 また、連星系周囲の原始惑星系円盤の観測も進んできている。一方で、連星系周囲の系外惑星系の形成過程は、未解決の問 題も多い。本講演では、連星系周囲の原始惑星系円盤の力学について、単独星周囲における円盤と惑星の相互作用と比較し つつレビューする。単独星周囲の原始惑星系円盤と惑星の系も、星と惑星の関係を「質量比の大きな連星」としてとらえる ことで、連星系周囲の原始惑星系円盤と共通した力学を考えることが出来る。そこで、連星系周囲の円盤と単独星周囲の円 盤で何が類似していて何が異なっているのかという点を整理して論じたい。また、最新の観測結果にも触れながら、惑星形 成の上でどのようなことが問題となっているのかということにも言及したい。

釣部 通 氏
タイトル:連星の形成と競合的質量降着
概要:多くの星々が連星として生まれることが示唆されているが、その形成過程につ いては、まだ理解されていない点が多い。本講演では重力不安定による分裂で連星が 形成する過程について議論する。星は分子雲が重力収縮して生まれるが、重力不安定 による分裂片コアの初期質量は典型的には木星程度の小さなものであり、最終的な質 量はそれらが質量降着によって成長することで決まる。しかしながら、分裂片が複数 ある場合には質量降着は競合的となり複雑である。講演ではこの競合的質量降着につ いて、連星系における質量比の起源を念頭に議論し、現在の知見、問題点、および課 題について整理したい。

蜂巣 泉 氏
タイトル:「 近接連星系の進化とIa超新星の起源」
概要:Ia型超新星は、鉄族元素の主な供給源である同時に、 光度が一様であることから宇宙の標準光源として、 宇宙膨張の加速の発見に大きく寄与した。しかし、 爆発までの進化経路に関しては、未解明のままで ある。大質量星の重力崩壊型超新星とは異なり、 炭素酸素白色矮星が炭素爆燃型爆発を起こすことで Ia型超新星になることは大方の同意が得られて いるが、そこまでの進化経路については現在でも 議論が分かれている。ここでは、最近の観測と 理論の進展についてまとめるとともに、私たちの 提案している進化経路について解説する。

山口 正輝 氏
タイトル:特異な大質量X線連星としてのガンマ線連星
概要:周期的にガンマ線を発する連星、ガンマ線連星は現在5天体見付かっている。これらは、もともと大質量X線連星だと思われていた天体から ガンマ線が検出され発見されたものである。現在見付かっている大質量X線連星の数(数百個)に対し、ガンマ線連星がこれだけ少ないのはなぜだ ろうか。何がガンマ線連星を特異にさせているのだろうか。個別の天体に対し、観測事実やそれを説明するモデルを挙げることでこれらのことを議 論したい。また、ガンマ線連星の進化経路についても議論したい。

榎戸 輝揚 氏
タイトル:見直しが必要か?X 線連星の分類と中性子星の磁場
概要:X 線連星は、光学主星の質量が太陽質量の10倍を超えるO,B型の高質量X線連星(High Mass X-ray Binary; HMXB)と、 太陽質量以下の低質量X線連星(Low Mass X-ray Binary; LMXB)に大別される。古典的な描像では、前者に含まれる中性子星 (NS)の磁場は強く、後者は弱いと考えられていたあが、質量の軽いM型星とNSの連星である共生X線連星(Symbiotic X-ray Binary; SyXB)という新種族が見つかり、X線観測で強い磁場(~> 10^12 G)の可能性も示唆されている。LMXBでも磁場が強い NSの報告と合わせ、X線連星と中性子星の磁場の理解に見直しが迫られている。最近のX 線連星の観測について議論する。

田中 雅臣 氏
タイトル: 超新星爆発に見る大質量星連星進化の痕跡
概要:超新星爆発は大質量星が一生の最期に起こす爆発である。様々な観測により、水素層やヘリウム層を失った 大質量星が爆発していることは間違いないと思われているが、単独星シナリオですべての観測を説明することは難 しく、連星進化シナリオが注目されている。講演では、連星進化シナリオを示唆する超新星爆発の観測例を紹介する。