JGRGについて

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アインシュタインが1915年に一般相対性理論を提唱して以来、時空や重力に関する研究は大きく進展したが、 その多くは数学的または純理論的興味からであった。その様相が一変したのは、1964年の3K宇宙背景輻射および 1967年のパルサーの発見からである。以後、一般相対性理論や相対論的重力理論の重要性が認識され、日本でも 宇宙論、相対論的天体、重力理論の本格的な研究が行われるようになった。その中心的役割をしたものが京都大 学基礎物理学研究所などで開催された「一般相対性および重力」研究会で、1974年から3年間毎年開催された。 しかしその後は、各研究分野の進展に伴い、より専門化された研究会が分野独自で行われるようになり、相対論 や重力そのものを中心とした大きな研究会はあまり行われなくなった。

そして新しい転機が1980年代後半に訪れる。重力波の直接観測を目指した重力波干渉計が具体的なものとなり、 重力研究そのものが再び注目されるようになった。日本でも重点領域研究「重力波天文学」として重力波干渉計 計画がスタートし、TAMA300プロジェクトへと受け継がれていった。その様な重力波を中心とした重力研究の高ま りと同時に、相対論的天体(ブラックホール・中性子星や重力レンズ効果)の精密観測、数値相対論などの相対 論研究の進展、めざましい宇宙論の展開、素粒子論における重力相互作用の重要性認識といった多くの出来事が 重力研究の重要性を指し示していた。そこでその重点領域研究のスタートを良い機会として、相対論や重力をい ろいろな側面からより総合的に考える研究会を開こうということになり、この「一般相対論と重力(General Relativity and Gravitation)」研究会が始まった。第一回は、東京都立大学で1991年12月4日〜6日の3日間行われた。 参加人数(約120名)の多さが、このような研究会を多くの研究者・学生が望んでいたことを伺わせる。以後、 日本国内の大学持ち回りで、同規模の研究会を毎年開催している。第10回(大阪大学)からは海外から招待講演 者を数名呼び、また講演も英語によるものとし、国際的な研究会になった。

この研究会は、多くの若手研究者・学生の参加・発表によって支えられているのはもちろんのことであるが、また、 本研究会を通して次世代の第一線研究者が数多く育っていくことを期待している。

なお、この研究会の成果は毎回プロシーディングとしてまとめられてきた。これらの成果を多くの研究者により 有効に利用できるように、今後は、電子媒体として発行し、京都大学理学部天体核研究室で管理することとなった。
(文責 前田恵一、佐々木節, 2009年4月)


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(ISGRGは広い意味での相対論研究者が加入している国際組織です。JGRGはISGRGとは直接の関係はありません。)